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第0話:ただいまも言えずに、みみちゃんは泣き出した

茜色の空に溶けた、小さな涙

秋の夕暮れは、いつも少し切ない色をしている。

あの日も、そんなことを考えながら、窓越しに西の空がオレンジに染まる様子を見ていると、玄関のドアが開く音がして、私は仕事場から「おかえり」と声をかけました。

けれども、いつもは元気に返ってくる「ただいま」がありません。

嫌な予感がして、廊下に出ると、ランドセルを背負ったまま、みみちゃんが立っていました。小さな頃から、何とかして泣くのを我慢しようとするときの、あの顔で。

それだけのことだったのに

「どうしたの?」

膝を折って目線を合わせると、ぽつり、と口が開きました。

漢字の宿題やテストで、ずっと間違いを丸にされていたこと。何度も続くから、思い切って担任の先生に伝えたこと。「漢字は一生モノだから、正しく覚えたいんです」と。

それだけのことだったのに。

抱きしめると嗚咽交じりに、話を続けます。

担任の先生と生活指導の先生に呼ばれたこと。

「生意気だ」と言われたこと。

そして、一際大きな泣き声とともに、こう告げられたと教えてくれました。

「そのままの態度では、公立中学では内申点はもらえませんよ」

この子の正しさを、守ろう

私は、しばらく動けませんでした。

この子は何も間違っていない。正しいことを、正しいと言っただけ。なのに、なぜ。怒りでも悲しみでもない、もっと静かで冷たい何かが、胸の奥に落ちていきました。

その夜、私は決めました。

この子の「正しさ」を、守れる場所へ連れて行こう。

6年生の秋。まだ「志望校」という目的地さえ見えない暗闇の中で、私たちは一歩を踏み出しました。
まさかその先に、あの「50日間の奇跡」が待っているとは、この時の私はまだ知る由もなかったのです。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

今、もしお子さんの成績や、周囲からの言葉に傷つき、暗闇の中にいるのなら。 辛いときは、一人で抱え込まずに、私にその想いを預けてみませんか?

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